手関節の可動域制限
今回は手関節の可動域制限についてです。
手関節の場合、
主要運動は、屈曲(掌屈)・伸展(背屈)
参考運動は、橈屈、尺屈
です。
可動域の制限は、原則、主要運動である屈曲・伸展について判断します。
そして、同一面にある運動については、両者の可動域角度を合計した値をもって関節可動域の制限の程度を評価することとされているので、屈曲・伸展はあわせて評価の対象となります。
そして、関節可動域の測定値については、日本整形外科学会及び日本リハビリテーション医学会により決定された「関節可動域表示ならびに測定法」に従い、原則として、
他動運動による測定値によることとされています。
ただし、他動運動による測定値(医師により測定した値)を採用することが適切でないものについては、自動運動による測定値を参考として、障害の認定を行う必要があるとされています。
他動運動による測定値を採用することが適切でないものとは、例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となり、他動では関節が可動するが、自動では可動できない場合、関節を可動させるとがまんできない程度の痛みが生じるために自動では可動できないと医学的に判断される場合等をいいます。
手関節の機能障害の評価についてですが
「 関節の強直 」に該当する場合には、「1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの」として8級6号となります。
ここで「 関節の強直」とは、関節の完全強直又はこれに近い状態にあるものをいいます。
そして、「これに近い状態」とは、関節可動域が、原則として健側の関節可動域角度の10%程度以下に制限されているものをいい、「10%程度」とは、健側の関節可動域角度の10%に相当する角度を5度単位で切り上げた角度とすることとされています。
なお、関節可動域が10度以下に制限されている場合は、すべて「これに近い状態」に該当するものとして取り扱われます。
次に、「関節の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの」は「関節の機能に著しい障害を残すもの」とされ「3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」は10級10号とされます。
また、「関節の可動域が健側の可動域角度の4分の3以下に制限されているもの」は、「関節の機能に障害を残すもの」とされ、「3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」は12級6号とされます。
なお、せき柱や健側となるべき関節にも障害を残す場合等にあっては、測定要領に定める参考可動域角度との比較により関節可動域の制限の程度を評価することとされています。
手関節の場合の参考可動域角度は以下の通りです。
参考可動域角度 | 合計 | 10級(2分の1) | 12級(4分の3) | |
主要運動 | 屈曲90度・伸展70度 | 160度 | 80度 | 120度 |
参考運動 | 橈屈25度 | 12.5度 | 18.75度 | |
参考運動 | 尺屈55度 | 27.5度 | 41.25度 |
次に、主要運動では後遺障害の基準にみたない場合に参考運動を評価の対象とする場合があります。
手関節については、主要運動の可動域が2分の1(これ以下は著しい機能障害)又は4分の3(これ以下は機能障害)をわずかに上回る場合に、当該関節の参考運動が2分の1以下又は4分の3以下に制限されているときは、関節の「著しい機能障害」又は「機能障害」と認定するものとされます。
なお、「わずかに」とは、原則として5度とされますが、手関節の屈曲・伸展の主要運動について「関節の著しい機能障害」に当たるか否かを判断する場合は10度とするとされています。
例としては、手関節の患側の屈曲・伸展の可動域が85度である場合、健側の可動域角度が160度であるときは、160度の2分の1は80度であり、主要運動自体は2分の1をみたさないことになります。
しかし、この2分の1である80度に10度を加えると90度となり、患側の可動域85度はこれ以下となっています。
この場合に、手関節の参考運動である橈屈もしくは尺屈
の可動域が2分の1以下に制限されていれば、「著しい機能障害」となります。
なお、参考運動が複数ある関節にあっては、1つの参考運動の可動域角度が上記のとおり制限されていることをもって足りるとされています。
可動域制限については、もともとの規定の仕組みが複雑であるため
専門家でもなかなか正確に理解することは困難な点もあります。
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